昭和62年9月2日の最高裁大法廷判決は、不倫など離婚原因を作った側(有責配偶者)からの離婚請求について、一定の条件下で認める判例変更を行った歴史的な判決です。
約36年もの長期別居という事案背景のもと、3つの要件を満たす場合に離婚請求が認められることを明らかにしました。
判決の概要と意義事案: 夫(X)が不倫し、別の女性と同居。妻(Y)との別居が約40年(実質36年)続いていた事例です。
判断の転換: 従来は「有責配偶者からの離婚請求は許されない」という原則が強かったが、本判決で一定の条件下において、有責配偶者からの離婚請求であっても認められるという転機(基準)を示しました。
重要性: 婚姻関係が実質的に破綻し、修復の見込みがない状況であるにもかかわらず、形式的に離婚を認めないことは、かえって不合理であるという視点から判断されました。
離婚が認められる3つの要件本判決では、以下の要件をすべて満たす場合に、例外的に有責配偶者からの離婚請求を認めています。
相当の長期間の別居: 夫婦関係が実質的に破綻しており、その期間が相当に長い(事例では30年以上)。
未成熟子の不存在: 夫婦の間に、まだ自立していない子供(未成熟子)がいないこと。
相手方配偶者が精神的・社会的に過酷な状態に置かれない: 離婚により、有責でない側(妻)が著しく厳しい生活状況や精神的苦痛に追い込まれないこと。
